5. 今後の生活を考える上で、必要なお金の話 ~財産分与、年金分割

婚姻生活中に夫婦が協力の上で築いた財産(共有財産)は、その貢献度に応じて分配されなくてはなりません………

・婚姻生活中に夫婦が協力の上で築いた財産(共有財産)は、その貢献度に応じて分配されなくてはなりません。そして、貢献度(分配の割合)は、通常1:1と評価されることが多いので、基本的には夫婦で築いた財産は等分に分けることとなります。

・夫婦が婚姻前から有していた財産(特有財産)は、夫婦で築いた財産とは言えませんので、分配の対象とはなりません。父母等を相続して得た財産も同様です。

・一方で、婚姻中に夫婦の生活を支えるため負った債務(住宅ローン等)についても、理屈上は、夫婦で分担して負担しなければならないこととなります。貸主との関係では、借主として名義が挙がっている者が弁済義務を負うことになりますが、実質的な負担については、財産分与の話合いの中で取り決めておかなければならないこととなります。

・以上は計数上の話であり、預金、不動産、車、残ローン…と様々な形で存在する財産、負債を夫婦でどのように分配するのか、具体的に取り決めをしなければなりません。夫婦の話合いで取り決めができない場合には、調停を申し立てることとなります。調停において合意に至らない場合は、家庭裁判所に審判を求め、或いは訴えを提起して判決で決めてもらうということになります。

・また、婚姻期間中に支払った年金保険料に対応して支給される厚生年金について、夫婦が分割して受給できる制度(離婚時の年金分割制度)が、平成19年4月より始まりました。
原則として、分割の割合について夫婦の合意が必要となるのですが、いわゆる3号被保険者については、例外もあります。平成20年4月1日以降の期間の年金保険料支払に対応する分という限定はあるのですが、離婚時に請求をすれば、自動的に2分の1の額が受給できることとなりました。

・年金分割の割合について、夫婦で合意ができない場合には、調停や訴訟等の手続を利用して決めるようにしましょう。また、年金分割の請求期間は、離婚成立後2年以内となっているので、注意して下さい。